イマジネーションが起こる脳

「イマジネーションとは脈絡を欠いた断片的な記憶のコンビネーションである」
村上春樹は『職業としての小説家』の中でそう言っています。
そのために必要なことは「ものごとをなるべく現状に近い形で頭にありありと留めておくこと」
僕たちの脳内には戸棚(キャビネット)があり、そこには複数の抽斗(ひきだし)がついている。イマジネーションの根っこにあるものは素材(マテリアル)としての記憶。きちんとそのままの状態で脳内キャビネットに保管しておくと、必要なときに取り出すと有機的に結びつき、それがイマジネーションにつながるというのです。
“ものごとをなるべく現状に近い状態で頭に保管しておく”
口で言うのは簡単ですがなかなか難しいです。
先日、デザイナーチームとのミーティングで、2週間の活動の振り返りを行いました。
その時、
①行なったこと
②気づいたこと
を発表するルールにしたのですが、意見や改善点が含まれる発表が多かった。
私たちは、ものごとをみると、そこに必ず意味をつけるという習慣ができてしまっています。
これは○○だから素晴らしいとか、これは××だからあんまり好きじゃないとかね。これだと結論が記憶として残ってしまい、素材として機能しないというのです。
これは「早い脳」と「遅い脳」の使い方なんじゃないかと思います。
早い脳は、その場で判断する脳。
遅い脳は、すぐに結論を出さずに、時間をかける脳。
僕らは教育の中で「早い脳」を鍛えてきました。そして無意識でものごとに意味づけを行なってしまいます。しかし、それだと素材としての記憶が機能しない。つまり、イノベーションが起こりにくい脳になっているということです。
意識的に「遅い脳」の訓練やる必要、ありそうですよね。
たとえば、映画を見て議論しない。本を読んで結論を書かない。
そういった、記憶の中にそのままの状態でしまっておくということに慣れないといけないと思います。
僕もチャレンジ中ですが、これがなかなかできずに悪戦苦闘中。
意味づけした方が心が安心する。だからついつい評価を入れてしまいます。
でも、そこをぐっと我慢してそのままの状態で保管する。
新しい習慣の形成には平均66日かかるそうです。
慣れるまでやってみようかと思います。
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今週も週刊秋葉塾をお読みいただきましてありがとうございました。
村上春樹はメモをしないそうです。
一旦文字にしてしまうと、それで安心して忘れてしまうことがよくあるからだそう。
頭の中にそのまま放り込んでおくと、消えるものは消え、残るべきものは残る。
それでいいんだと言っています。
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