スマホの買い替え

息子のスマホの調子がよくないらしいということを妻から聞いた。
中学入学の時に買ってあげた0円スマホ。
もうちょっといい機種が欲しいらしい。
「買い替えの予算はどれくらい?」
と聞かれて、
「予算なんてないよ。」
って答える。
スマホ代は割賦になるから、店舗に行ってみないとわからない。
「欲しい機種だけ調べておいて」と伝えた。
休みの日にみんなでソフトバンクショップに行った。
娘もスマホデビュー。ルンルンだ。
お店に入ると店員さんから
「なにをお探しですか?」と聞かれた。
息子は
「google pixel7aがいい」といった。
「え、google pixel?」
高校生が生意気に。OPPOで十分だろーって思った。
「どれくらいするんですか?」
と聞くと
「月1,000円で使えます」
まあ、1,000円ならいいかー
そう思ったら
「今なら8も最初の2年間は1,000円で使えます」
と余計なことを言ってきた。
すると息子は「8がいいです」と。
まあ、そうなるよね。
でも、3年目からは月3,000円になるらしい。
娘のスマホは直ぐに決まった。
シャープの0円スマホ。最初だし大きさもちょうどいい。
息子のはすぐにはオッケー出せない。
娘の契約は妻に任せて、ショップの一画を借りて息子と話し合いをした。
「最初は7aがいいって言ってたじゃないか。なんで8になるんだ?」
そう聞いた。
息子は体を横に向けたままじっと考えている。
顔を見ると、びっくりするほど瞬きをしていた。
そして振り絞るように
「8の方がスペックが高いから」と答えた。
たぶん僕のことが怖いんだと思う。
中学受験の時の印象がまだ強く残っているのだろう。
3年間話したくなかった理由がわかった気がする。
僕はなるべく怖がらせないように注意しながら話を続けた。
「7aでもいいんじゃない?」
「本当は8の方がよかった。でも高いから7aでいいって言ったんだ。
同じ1,000円ならいいじゃないか?」
確かに同じ値段なのだから8の方がいいに決まっている。
「最初の2年間は問題ないが、その後は自分で追加の2,000円を払うのならいいよ」
と言うと、息子は自分で払うと言った。
でもそんなに簡単に最新版を与えるわけにはいかない。
教育上よくないと思ったのだ。
「Google Pixel8は社会人が使うものであって、高校生にはオーバースペックなんじゃない?」
「8の方がゲームがサクサク動くんだ」
「お父さんはゲームをさせるためにスマホを買い替えるんじゃないよ。高校生は学業が一番だからね」
「試験の時はちゃんとゲーム断ちして頑張ってる」
確かにそうなのだ。
試験期間になると彼は、部屋にあるモニターを別の部屋に自ら移動してゲーム断ちをしていた。そして3年生最後の成績は学年で3位にもなった。
ちゃんと欲しいものも調べてきて、言っていることもしっかりしている。
話してないうちにずいぶん成長したんだなーって思った。
「ちゃんと調べてるし、言ってることもわかった。確かに8にするから勉強しなくなるってことにはならないね。
小学生の時から話してないからわからなかったけど成長したんだな。」
「8でいいよ」
と伝えた。
息子は表情を変えなかったが、きっと嬉しかったと思う。
契約も無事終わり気をよくした僕は、好きなスマホケースを買ってあげることも約束した。
家に帰ってから、スマホの初期設定をしてあげた。
設定は何度もやってるからお手のもの。
途中息子が焦ってLINEの履歴が消えるというハプニングもあったが、調べてあげてなんとか復活してあげた。
会話はないけど距離が近くなったような気がする。
息子との関係は修復に向かっているように感じていた。
ほどなくして息子からケースのリクエストが来た。
選んだのは茶色の地味なケース。
汚れが目立たないからという理由らしいが、
高校生にもなるんだからもうちょっと明るい色をチャレンジしてみたら?
と提案した。これには妻も賛成で、同じカタチのターコイズブルーのものにすることになった。
翌日。Amazonから注文したケースが届いた。
袋を開けてみると、綺麗なターコイズブルーのケースが入っていた。
きっと似合うと思う。
「ケース届いたよー」
そう伝えると部屋から出てきて、ちょこっと頭を下げて無言で受け取った。
息子の部屋から
「お父さん」
という声が聞こえた。
久しぶりに『お父さん』と呼ばれ、その言葉が心に響いた。
そしてじわじわと嬉しい気持ちが込み上げてきた。
前みたいに会話ができるかもしれない。そう期待した。
部屋から出てきた息子はケースを差し出して言った。
「これ、ギャラクシーのだよ!」
スマホケースの透明な袋には大きく『GALAXY』の文字が書いてあった。
きっとAmazonで色を変更した時に間違えちゃったんだと思う。
息子はケースを手渡し、部屋に戻っていってしまった。
新しいケース、楽しみにしていたはずなのに…
残念な気持ちにさせてしまったけど、
僕の耳には『お父さん』という心地よい響きが残っていた。
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今週も「週刊秋葉塾」を読んでいただき、ありがとうございます。
本当は同じ1,000円という時点で8にしてあげてもいいと思った。
僕は息子との久しぶりの会話をなんとか引き伸ばそうとしていたんだと思う。
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